改正リース基準の適用による論点について
TOKOニュースレターでは2023年5月号vol.149で「リースに関する会計基準(案)」の公開草案について速報でお知らせしました。その後、8月にコメント募集が終了しており、今後改正リース基準として公表されることになります。公表及び適用時期は未定ですが、実務担当者は早期に検討を開始することが望まれます。今回は、改正リース基準の適用により論点となりそうな部分について、特に借手側の処理について検討していきたいと思います。
1.リースの識別の判断
リースを、「原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約又は契約の一部をいう」として定義した上で、ここでいう契約は、法的な強制力のある権利及び義務を生じさせる複数の当事者間における取り決めいう、としており、書面・口頭・取引慣行等が含まれる、としています。改正リース基準では、契約形態ではなく、取引実態の判断でリース判断を行うため、従来リースとして識別されなかった取引が新たにリースとして識別される可能性があります。
・顧客が、特定された資産の使用から生じる経済的利益のほとんどすべてを享受する権利を有しているか。
・顧客が、特定された資産の使用を指図する権利を有しているか。
等を考慮の上、リースに該当するか否かを判断することになり、形式上はリースではない契約や財又はサービスの販売・購入契約の一部がリースとして識別される可能性が出てきそうです。
2.リース・非リースの区分
借手は、リースを含む契約について、原則としてリースを構成する部分とリースを構成しいない部分とに分けて会計処理を行う(基準26)としています。適用指針11では対価の配分方法について、「借手は、契約における対価の金額について、リースを構成する部分とリースを構成しない部分とに配分するにあたって、それぞれの部分の独立価格の比率に基づいて配分する。また、借手は、契約における対価の中に、借手に財又はサービスを移転しない活動及びコストについて借手が支払う金額が含まれる場合、当該金額を契約における対価の一部としてリースを構成する部分としない部分とに配分する。」と規定しています。
3.リース期間の決定
基準14では、「借手のリース期間とは、借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間に、次の(1)及び(2)の両方を加えた期間をいう。
(1)借手が行使することが合理的に確実であるリースの延長オプションの対象期間
(2)借手が行使しないことが合理的に確実であるリースの解約オプションの対象期間」と規定しています。
同種の資産の使用実績や、資産の特性、代替資産の有無、リースを解約して新たなリース契約を締結するコスト等を総合的に勘案して決定する必要があり、リース期間は書面での契約期間と異なる可能性があます。
以上
東光監査法人へのご相談やご質問、ご不明点等は、各種お問い合わせよりお尋ねください。
どんな些細なことでもお気軽にお問い合わせください。