内部統制報告制度の改正:「財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(令和5年内閣府令第57号)」と「財務報告内部統制監査基準報告書第1号「財務報告に係る内部統制の監査」の改正」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」について
TOKOニュースレターでは2022年10月号、2023年3月号で内部統制報告制度の見直し理由、論点、そして主な改正点(予定)、適用時期(予定)等をタイムリーに御説明してまいりました。
その後、「財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(令和5年内閣府令第57号)」が6月30日に公布されました(施行は2024(令和6)年4月1日)。これは、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」(令和5年4月7日付)で内部統制報告書、訂正内部統制報告書及び内部統制監査報告書の記載事項が追加されたことに伴う改正です。主な改正点は次の3点です。
(1)内部統制報告書
前年度に開示すべき重要な不備を報告した場合に、付記事項として、当該開示すべき重要な不備に対する是正状況を記載することが必要となります。
(2)訂正内部統制報告書
事後的に内部統制の有効性の評価が訂正される際に、具体的な訂正の経緯や理由等を記載することが必要となります。
具体的には次の項目です。
①開示すべき重要な不備の内容
②開示すべき重要な不備を是正するために実施された措置がある場合には、その措置の内容及びその措置による開示すべき重要な不備の是正状況
③財務報告に係る内部統制の評価結果を訂正した経緯
④訂正の対象となる内部統制報告書に開示すべき重要な不備の記載がない理由
(3)内部統制監査報告書
企業が内部統制報告書の内部統制の評価結果において内部統制は有効でない旨を記載している場合に、監査人はその旨を監査人の意見に含めて記載することが必要となります。
さらに、日本公認会計士協会(監査・保証基準委員会)では、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」をもとに「財務報告内部統制監査基準報告書第1号「財務報告に係る内部統制の監査」の改正」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」を8月4日に公表しました。
主な追加や変更は次の通り。
〇内部統制の評価範囲の決定において財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性を適切に考慮すべきこと(リスク・アプロ―チ)を改めて強調するため評価対象とする重要な事業拠点や業務プロセスを選定する指標について、
例示されている「売上高等のおおむね3分の2」や「売上、売掛金及び棚卸資産の3勘定」を機械的に適用すべきでない旨を受けて.「業務プロセスに係る内部統制の評価範囲の検討」の全体的な見直しが行われ、また次の通り「付録7で重要な事業拠点の選定方法に係る参考例」が追加されました。
【設例1】売上高(内部取引消去後)を選定指標とする場合(全社的な内部統制が良好なケース)
【設例2】売上高(内部取引消去後)を選定指標とする場合(全社的な内部統制のうち、良好ではない項目があるケース)
【設例3】売上高(内部取引消去後)に加えて売上原価を追加的な選定指標とする場合
【設例4】売上総利益を選定指標とする場合
【設例5】売上高(内部取引消去後)に加えて税引前当期純利益を追加的な選定指標とする場合
〇評価範囲外の事業拠点又は業務プロセスから開示すべき重要な不備が識別された場合には、当該事業拠点又は業務プロセスについては、少なくとも当該開示すべき重要な不備が識別された時点を含む会計期間の評価範囲に含めることが適切とされました。
〇内部統制の評価の計画段階及び状況の変化等があった場合において、評価範囲について監査人は経営者との協議を通じて指導的機能を発揮することが適切である旨、明確化されました。
〇ITを利用した内部統制の評価について留意すべき事項が記載されました(評価に関しては特定の年数を機械的に適用すべきでない旨等)。
〇前年度の開示すべき重要な不備の是正状況を付記事項において記載すべき旨が追加されています。
上記については2024 年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度における内部統制監査から適用となります。
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