【財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(公開草案)】について
金融庁企業会計審議会内部統制部会は2022年12月に上記公開草案を公表しました。公開草案に対する意見提出はすでに1月19日に締め切られています。
改正理由は、制度導入以来14年経過し、これまで企業の経営管理・ガバナンスの向上に一定の効果はあったものの、近年、内部統制報告書を提出した後、不正発覚もあり、現在のこの制度の実効性に懸念がある等の指摘があったことによります。(東光ニュースレターVol.142参照)
公開草案では次のような改正が予定されています。
1.具体的な主な改正点
①経営者による内部統制の評価範囲と決定
経営者が内部統制の評価範囲を決定するに当たって、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性を適切に考慮すべきことを改めて強調するため、評価範囲の検討における留意点を明確化した。具体的には、評価対象とする重要な事業拠点や業務プロセスを選定する指標について、例示されている「売上高等の概ね2/3」や「売上、売掛金及び棚卸資産の3勘定」を機械的に適用すべきでないと記載しています。
②ITを利用した内部統制の評価
IT内部統制評価について一定の頻度で実施することについて経営者は、IT環境の変化を踏まえて慎重に判断し、必要に応じて監査人と協議して行うべきであり、特定の年数を機械的に適用すべきものではないことを明確化しています。
③財務報告に係る内部統制の報告
監査人は、経営者による内部統制の評価範囲の妥当性を検討するに当たっては、財務諸表監査の実施過程において入手している監査証拠も必要に応じて、活用することを明確化した。また、評価範囲に関する経営者との協議については、内部統制の評価の計画段階、状況の変化等があった場合において、必要に応じて、実施することが適切であるとしつつ、監査人は独立監査人としての独立性の確保を図ることが求められることを明確化しています。
④内部統制報告書の訂正時の対応
事後的に内部統制の有効性の評価が訂正される際には、訂正の理由が十分開示されることが重要であり、訂正内部統制報告書において、具体的な訂正の経緯や理由等の開示を求めるために、関係法令について所要の整備を行うことが適当としています。
2.適用時期等
令和6(2024)年4月1日以後開始する事業年度における財務報告に係る内部統制の評価及び監査から適用を予定しています。
また、改訂基準及び改訂実施基準を実務に適用するに当たって必要となる内部統制監査の実務の指針については、日本公認会計士協会において、関係者とも協議の上、適切な手続の下で早急に作成される予定です。日本公認会計士協会では2023年1月17日に上記公開草案に対し意見書を提出しています。
内部統制制度改正についても早めのキャッチアップが必要のようです。
以上
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