公認会計士法の改正について(速報)
2022年通常国会で審議されていた公認会計士法の改正案が5月11日可決・成立し近日中に公布予定です。公認会計士法の改正は、2007年以来15年ぶりとのことです。
主な改正点は次の通りのです。
1.業務補助等の期間の見直し
欧州各国では3年以上の実務経験が求められていることや企業活動のグローバル化や複雑化への対応、合格者の若年化などを踏まえ、公認会計士の資格要件のうち業務補助等の期間を2年以上から3年以上に改められます。
2.上場会社等の財務書類の監査証明業務に係る登録制度の整備:登録制の導入
上場会社等の監査に関する登録制が導入されます。欧米諸国では、上場会社などの監査を行う監査事務所は、監査監督機関へ登録を行い、監督・検査を受ける枠組みとなっています。日本でも登録制を導入し、日本公認会計士協会が適格性を確認するほか、登録を受けた監査事務所に対し、適切な業務管理体制の整備などについて、より高い規律付けをしていくようです。例えば、監査法人のガバナンス・コードに基づく組織運営や、情報開示の充実を想定してします。現状自主規制の枠組みにおいて運用されていた上場会社監査事務所登録制度を、法律の下で運用する枠組みに変更するとともに、制度の詳細設計と運用については引き続き日本公認会計士協会が行うとのことです。
3.監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の見直し
監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限についても見直されます。現行制度では、監査法人の社員が会社の役員等と配偶関係を有している場合は、監査法人と被監査会社間の独立性を確保する観点から、その会社の監査証明業務の提供ができないことになっています。共働き世帯の増加、女性活躍の拡大、監査法人の大規模化が進行する中、独立性に及ぼす影響を踏まえ、業務制限の見直しが行われます。
4.公認会計士・監査審査会による立入検査等の権限の見直し
金融庁長官から公認会計士・監査審査会に委任する監査法人等に対する立入検査等の権限の範囲を見直すとともに、金融庁長官が自ら当該権限を行使することを妨げないことになります。
国会ではCPAAOBの検査権限見直しについて「権限強化は日本公認会計士協会の自主性を損ねないか」と質問がありましたが、金融庁担当官は「あくまで当局内の権限範囲の見直し。品質管理レビューの実効性を高める観点から見直すもので、基本的な位置付けが変わるものではない」と答弁されています。
今回の改正では諸外国と平仄を合わせ女性進出の阻害要因の排除等グローバル化・国内事情に対応した改正が行われるとともに、我々中小監査法人にとって適切な業務運営体制の整備が求められています。
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