今回は、日本公認会計士協会 より平成26年5月23日に公表されました、 「監査業務と不正等に関する実態調査」 を 事例(アンケート回答) として 検証 していきたい と思います。
なお、本文中の意見については筆者の私見であり、法人の意見ではないことを申し添えます。
本調査は、会計監査と関わることの少ない人に、公認会計士が監査業務の中でどのように不正問題に対峙しているか等、社 会一般からの理解を得るために行われたものです 。
対象者は、過去10年間監査業務に従事している公認会計士全員とされていることから、昨今の監査業務事情をある程度反映することができるものと予想され ます が、協会における初の実態調査であること、回答方法にパスワードが必要であったこと、分析方法にも癖があったことなどから、必ずしも正確に反映しているとは断言していません。
しかし、実際に不正等と遭遇した公認会計士の行動の調査には、同業者を含めた関係者の方等に、それなりの意味をもたらすものと思います。
Ⅰ、回答者の属性に 関する質問(回答者1013人)
ここでは、年齢や経験年数、勤務実態の分析をしています。
まず、回答者数については、対象者全体である13506人の7.5%と非常に低い回答率となりました。
これは、PCからのエントリーとパスワードの失念が影響しているものと思われ、60歳以上の回答者が非常に少なくなりました。
但し、その後の経験年数や勤務実態を調査すると、「不正問題」に遭遇した、若しくは、遭遇しうる、監査法人に勤務する公認会計士からの回答が、比較的に多 いものと思われます。また、不正問題に関心がある公認会計士程、回答率が高いように見受けられます。
Ⅱ、不正に関する全般的質問(回答者 936 人)
まず、遭遇した不正の件数については、過去10年間に半数が0件と回答する一方、11件以上という回答が27件もありました。
公認会計士の中でも、不正の発見が得意な者とそうでない者との差が生じているのが現状で、スキルの向上が必要なことは言うまでもありません。実際、不正防止への障害として、27%が監査人の経験・能力の不足をあげています。
また、不正の財務報告と会計監査の関係についてのコメントは、126人が自由に記載しています。
最も多かったのは、監査の固有の限界や不正が巧妙な隠ぺいを伴った場合、監査による不正の発見が困難であるとの指摘です。発見の困難さは、監査時間、監査報酬、監査スケジュール等が影響する と いうコメントも多かったようです。
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