昨今グローバル化が進み、日常の事業活動の中で外国との取引が多くなってきたと思います。その中でも前受金又は前渡金を外貨で受け取るケースも出てきており、その会計処理について悩まれるケースがあるかと思います。 今回は、 その時に備え「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」を確認したいと思います。
1.外貨建て前渡金及び前受金は外貨建金銭債権債務か?
前渡金は、将来、財貨又はサービスの提供を受ける費用性資産であり、前受金は将来、財又はサービスの提供を行う収益性負債であるので、外貨建金銭債権債務ではありません。従って、外貨により授受された前渡金及び前受金は、金銭授受時の為替相場による円換算額を付します(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針 25 項)。 従って、決算時に決算時の為替相場による円換算は必要ありません。 一方収益性負債又は費用性資産の代表例として外貨建未収収益や外貨建未払費用がありますが、これら項目は、為替換算上、外貨建金銭債権債務に準ずるものとして取り扱うことになっています(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針 27 項)。 従って、外貨建未収収益や外貨建未払費用は、決算時に決算時の為替相場により円換算が必要となります。
2.前渡金及び前受金に係る外貨建取引高の換算方法
原則として、外貨建取引高のうち、前渡金又は前受金が充当される部分については、前渡金又は前受金の金銭授受時の為替相場により円換算額を付し、残りの部分については、取引発生時の為替相場により換算します。
但し、営業利益及び経常利益に重要な影響を及ぼさないと認められるときは、当該取引高の全額を取引発生時の為替相場により換算し、この金額を取引高に計上するとともに、前渡金又は前受金の金銭授受時の為替相場と取引発生時の為替相場との相違から生じる換算差額は、為替差損益として処理することができます(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針 26 項)。
3.外貨建保証債務の換算と注記
外貨建保証債務は、決算時の為替相場により円換算し、貸借対照表項目の注記として記載します( 外貨建取引等の会計処理に関する実務指針 29 項)。
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