上場維持基準の見直しを制度要綱として公表
先月、証券取引所は、グロース市場を「高い成長を目指す企業が集う市場」としての実効性を強化するため、上場維持基準の見直しを制度要綱として公表しました。この見直しは、機関投資家が投資対象とできる企業規模への早期の成長促進、及び企業間のM&Aや起業家の次の創業を刺激する観点からの制度改革です。
最も注目されるのは、時価総額基準の引き上げです。従来、グロース市場では「上場10年経過後に時価総額40億円以上」という維持基準が定められていました。
今回の見直し案では、2030年以降適用され、上場5年経過後に時価総額100億円以上という新基準を求める方向が示されています。つまり、10年ルールを強化し、より成長速度を要件とする基準設計となります。
ただし、この改正案は新規上場基準の引き上げを意味するものではありません。新規上場時点の基準は据え置く一方で、維持基準への適合性を主幹事証券会社や取引所が確認する運用が強調される方向です。また、引き上げによって影響を受ける企業群(時価総額が40億〜100億円の範囲の企業)については、スタンダード市場への市場区分変更を認める措置も検討しており、利益基準(年1億円など)を満たさない企業でも市場変更を可能とする特例扱いを設ける案も打ち出されています。
今回の公表と同時に、パブリック・コメント手続き(2025年9月26日~10月26日)も開始されており、制度の最終確定に向けた意見募集が行われています。
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